廃線になっていない廃線・日高本線の鵜苫駅
買った馬の様子を見に浦河を訪問したので、その帰りに日高線の駅を回ってきました。
日高本線は度重なる災害でダメージを受け、3年近くにわたって区間の大半が不通となっていおり、JRは復旧を断念してバス転換を地元自治体に働きかけています。
苫小牧~鵡川間は被害が少なく、まだ普通に列車が走っています。
しかし鵡川~様似間は、3年近く列車が走っていません。
したがってこの区間は、「廃線になっているけど廃線でない」不思議な区間というわけです。
まずはその中から、あまりにも心を揺り動かされる「鵜苫駅」をご紹介します。
空き地にぽつねんと佇む鵜苫駅
浦河から国道236号・336号と、海岸沿いを走ります。
陸側に入ってすぐ、人っ気のない空き地に鵜苫駅は佇んでいました。
鉄道ファン、廃線ファン、廃墟ファンなら、このビジュアルに心を掴まれてしまうのでは…。
風化しかかった元貨車(?)の駅舎。これが一応は現役の路線なのですから、驚きます。
パノラマで撮るとこんな感じ。
近くに民家はあるのですが、駅の周りだけ空地になっており、本当になにもありません。
アプローチする道路も本当に細く、見逃すと通り過ぎてしまうでしょう。
驚いたことに駅舎内はかなり綺麗に整美されています。
ゴミも落書きもなく、今でもこまめに手が入っているようです。
残念ながら駅ノート的なものはありませんでした。
ホームはこんな感じ。一応、左右に人家はあります。
そこそこ人の多そうな街なのですが、鉄道だけがそれに取り残されている感じです。
外装はかなり朽ちています。海の様子が描かれているのですが、判別できるのもあと数年だろうな、という感じです。
駅舎のイラストは様似中学校美術部のみなさんが15年前に描いたもので、個人的にかなりセンスがいいと思います。完成したばかりの頃を見たかったですね。
日高線が廃線になるのは(報道を見る限りは)ほぼ本決まりのようですが、この駅は微妙に市街地にも近く、また設備が簡易的なので、残されないような気がします。
早めに、逢いに来てやってください。
写真の撮りごたえがある駅です。
一時間くらいなら、すぐ過ぎてしまうと思います。
日高本線・鵜苫駅へのアクセス
レンタカー以外での到達は至難です。
浦河一帯へは長距離バスがあるにはあり、快速ペガサス号などを使えば新千歳からアプローチできますが、浦河まで着いても公共交通機関が皆無に近く、タクシーを長距離にわたって借り上げることになると思います。
レンタカーの場合はかなり楽で、新千歳からであれば日高道、帯広からであれば天馬街道もしくは襟裳国道~襟裳岬経由となります。
一番手っ取り早いのは帯広空港から天馬街道経由です。90~100分ほどで到達できると思います。