北朝鮮の地下鉄の駅アナウンスは絶叫している?
タモリの名人芸「地下鉄のアナウンス、韓国と北朝鮮と違い」をご存じの方、いらっしゃいますでしょうか。これは文字で説明しても面白くないので、もう聞いていただくほかないと思います。
※爆笑必至なので電車の中などでは聴かないでください。
これを聞いてから「実際に平壌で地下鉄に乗って、駅アナウンスを聞いてみたい」と心に秘めていたのですが、やっとこさその機会が訪れました!
北朝鮮の地下鉄・平壌地下鉄千里馬線栄光駅
というわけでガイドさんに案内され、平壌地下鉄千里馬線・栄光駅を訪れました。駅構内は大変清潔なのですが、照明が薄暗く、キオスクや自販機もないので不思議な気分になりますね。
自動なのかよくわからない改札を通って…(切符は切手みたいなヘロヘロの紙でした)。
信じられないほど長いエスカレーターをくだり…(戦時にはシェルターになるそうです)。
豪華なシャンデリアのあるプラットフォームに到着!
人民のみなさんが通勤通学に使ってらっしゃいます。
それでは北朝鮮の地下鉄の駅アナウンス、どうぞ!
前置きが長くなりましたが、それでは北朝鮮の地下鉄の駅アナウンス、聞いていただきましょう。どうぞ!!!
答え、アナウンスはありません!!!!!
というわけで拍子抜けしたのですが、アナウンス自体がありませんでした。タモさん、残念です!
北朝鮮の地下鉄の発車メロディは…?
しかし発車メロディ、これはどこかで聞き覚えがあるような…と思っていたら、思い出しました。北朝鮮の名曲「あなたがいなければ祖国もない」ですね。金正日将軍のイケメンぶりを高らかに歌った、北朝鮮の大ヒットソングです。文藝春秋ビデオ「金賢姫 私と北朝鮮」のオマケにMVがついてきたので、ご記憶の方も多いと思います。
この曲、北朝鮮のあちこちで流れていると思ったのですが、実は旅行中、地下鉄の駅でしか聴くことができませんでした。金日成首領様の歌もほとんど流れておらず、どこへ行ってもモランボン楽団(おそらく)が歌っている「行こう 白頭山へ」ばかりが流れていました。
白頭山と金正恩同志についてちょっとだけ解説
白頭山は中朝の国境にある名峰で、朝鮮民族のシンボルとなっています。大戦中はそこに金日成首領様がこもって抗日ゲリラ活動に精を出しており、その密営で金正日将軍様が生まれた、ということになっています(実際はソ連領ハバロフスクという説が有力)。
要するに富士山と伊勢神宮と仁徳天皇陵を混ぜたような場所が白頭山というわけです。南朝鮮傀儡の人からすると端迷惑な話ですが、朝鮮半島における唯一正統の政権は共和国なので仕方がありません。
そんなわけで、北朝鮮当局が「将軍様ソングを流しまくって将軍様推し推しにすると、金正恩同志がかすんで神格化によくない」「じゃあ革命血統の故郷たる白頭山で行こう」みたいな絶妙なバランス感覚を働かせたせいで、将軍様ソングも金正恩同志の歌も耳にしない、という状況になっているのではないでしょうか。
もしくは、単なる歌の流行廃れなのかもしれません。とはいえ前掲のモランボン楽団のMVに金正恩同志がチラチラ出てきているのを見ると、案外そんなところではないのかな、と思います。